glisten

DESTINY,WE'RE MEANT TO BE ABC&Z!!

赤い糸を手繰り寄せれば


手を伸ばせば届く距離にいた。私の好きなその人は触れるか触れないかの距離で笑っている。それでも私はこの右手を伸ばさなかった。正確に言うと伸ばすポーズはした、でもそれは触れたいからという気持ちよりも、触れたいと思うくらいあなたが好きなんですと伝えたかったからだ。それを伝えようとすればきっと、自分は愛されていると知って喜んでくれるかなと期待したからだ。愛されているよ、いつだって。この世界に求められて愛されている。声を上げてそう言いたい。愛されているよ、だって私はこんなにも好きだと思っている。

甘くてほんのりピンク色みたいな初恋をしたのが一年前だとすれば、今年の夏は、そうだな、太陽に焦がされたみたいにじりじりと痛みを感じる恋だった。そんな今年の夏の話。


2016年7月一年ぶりにはしもとくんのソロコンサートが帰ってきた。発表された公演数は去年の倍以上。ほら見ろ!去年のHasshy concertが素晴らしかったから増やしたんだろ!日程を見たとき私はひとりでドヤ顔になった。だって去年のはしもとくん初ソロコンサートは本当に、贔屓目抜きにしても素晴らしかったから。かっこよくてかわいくて楽しかったから。その辺りの話は去年のブログに散々書いたから割愛するけれど。
ひとしきりドヤ顔で顔を緩ませた後、はしもとくんのソロなら全ステするしか!ない!と思って改めて日程をマジマジと見て、これは無理だと落胆した。7月と8月に分かれた公演、その間にはえびのコンサートもある。さすがにそう何度も東京へは行けない。こう見えても私はね、海を越えて遠征しているんですよ、自分に言い聞かせて。今年はすでに年初めのジャニワ、とつかくんの寝盗られで東京大阪、コイベビでも大阪に行っていた。諦めろ、我慢しろ、言い聞かせて。泣く泣く8月だけ行こう、と申し込みをした。この選択に後悔はしていないけど、やっぱり7月の公演も見たかったなと思う。えびのコンサートと名古屋の感謝祭を挟んだ前後で多分はしもとくんは違う表情を見せた気がするから。見たかった、けれど、後悔はしていない。言い聞かせてないよ、本当だよ…
遠征する人間としては優先順位を決めないと、と思っていて、とりあえずソロのお仕事を最優先にしている。とつかくんの誕生日に発表されてから2016年は寝盗られるために生きる覚悟だったし、そのためにコイベビも(自分比で)控えめにしたつもりだ。コイベビもっと行きたかったなあ、ハシが本当に好きだったから。ハシと寄り添って生きたあの時期のはしもとくんがとても好きだった。その話もまた出来たらいいな。ハシのお話したいんだ。

我慢の7月を乗り越えて8月、えびのSLTコンサート。毎年思うけどえびのコンサートはやっぱり楽しい。こんなわくわくドキドキするステージを毎年見られるなんて幸せだなあと改めて思いながら、ペンライトを振ってうちわを抱きしめた。それぞれのソロ曲を披露してはしもとくんは五人の中でも最後だった。Crazy about you。アルバムで初めて聴いた時から取り憑かれたようにこの曲を毎日聴いていた、それくらい好きな曲だった。SLT初日つかちゃんソロの後はしもとくんが現れたときはひいって短い悲鳴をあげた。その時の登場の仕方がかっこよかった。つかちゃんにとって、予想外の展開になったというつかちゃんソロ。なんとなく会場が微妙な空気になったところではしもとくんは現れた。少しだけ笑って少しだけ心配そうに、けれどとても頼もしくはっきりとはしもとくんは言った。
「つかちゃん任せて、俺がこの空気変えるから」
からの、Crazy about youだった。間違いなくあのとき代々木体育館は赤色に染まったし私の視界も脳内もいっぱいになった。目が離せなかった。かわいい、なんて言うこともできなかった。見たことのない人がそこにいる気さえした。ペンライトを振る手は止まったし息をするのも惜しい気がした。言葉も音も流れる空気もすべて残さず身に纏って舞うように踊っているように見えた。特にはしもとくんの歌声が私をおかしくした。悪い意味ではもちろんない。頭も心の中も溶かされたみたいな気持ちになった。心臓がぎゅうぎゅうと苦しくなった。
相変わらずはしもとくんはとてもキュートな人だった。楽しそうにはしゃいではかわいく笑っていた。私の大好きなはしもとくんだった。その姿を見れば私は安心したし好きだなあとにこにこできた。だけど、何だろう、約1年ぶりにコンサートという舞台で見たはしもとくんは、私の中のはしもとくんとは少し違って見えた。穏やかだった気持ちはどこかざわざわ、というか、そわそわ、というか、落ち着かない。そんな気持ちを抱えて、8月27日を迎えることになった。


私にとってようやく迎えたソロコンサート初日。完全に浮き足立っていた。当たり前だよ、だってずっと我慢したし待ってたんだから。もうかわいいなんて言わせない、だって!はいかわいいかわいい世界一です!秒単位で言ってやるよ!まーぶるりょうちゃんください!と高らかに言い放ってグッズを買って、会場入りしてペンライト忘れたことに気付いて優しいお友達に借りて、今年も下手くそな良亮うちわを片手に握りしめていざ出陣!たくさんの真っ白な雲が浮かぶメルヘンなこの世界ははしもとくんそのものだ!平静を装いながらも内心はけっこう緊張していた。こうして幕は上がった。
このTDCでは一年ぶりのはしもとくん。はしもとくんだけの時間が始まる。はしもとくんしかいない、はしもとくんだけの世界。それだけで飛び跳ねたくなる気持ちだった。SWMが始まってステージの真ん中からぴょんっと跳ねて飛び出したのは、バラの花束を抱えたかわいいかわいい王子様。かわいいかわいいかわいい無限大。けれど、かわいいけど、かわいいんだけど、やっぱりちょっと違う気がした。かわ、かわいい、と言いかけたその言葉は何度か躊躇ってもごもごと咀嚼して飲み込んだ。その理由のひとつは初っ端から飛んできたはしもとくんのこの言葉だった。
「いぇーい!パリピ~~!!」
パリピ…!!!確かに最近はしもとくんがパリピパリピと口にしていることは知っていた。SLTコンサートでもはしぶろでもその単語を口にしていたからだ。いやパリピって、普通にその辺にいるやんちゃそうな人達がそう言ってはしゃいでたら、なるべく近づかないようにして真顔で通り過ぎるよ私なら。えーんはしもとくんそんな私にパリピを求めるの?え!どうしたら!とか思いながらもでもやっぱりはしもとくんはかわいい。かわいいという真理。すぐにそんなもごもごしたやつはぽいっと放り投げて、かわいいかわいいと溶ける簡単な思考。かわいいにテンションは上がって楽しそうなはしもとくんもテンションが上がって、気付けばいつの間にかはしもとくんと私達のパリピC&Rは完成していた。
「パリピ!」「パリピ!」「パリピ!」「パリピ!」「ピーピー!」「(?)ピーピー」「ヤマピー!」「(!)ヤマピー!」
これはまずいか、ヤマピーは!えへへ、といたずらっぽく笑うはしもとくんに私はめろめろ。ヤマピーさんありがとうと土下座する勢い。なんだかとても楽しくなった。まあ夏だし、はしもとくんの夏だし。ここでは全部はしもとくんのせいにできるんだよ、なんて贅沢な。

とはいえ。千葉のヤンキーだと自分のことを表してみたり盛り上がりがいまいちな客席をここは図書館か!と煽ってみたり、ちゃらいと思われたくないとBBJのヒロで金髪にしたときあれほど拗ねていたのに、自らちゃらい自分を前面に出している気がして私は少しだけ足踏みをした。嫌いになったとかではなくて、はしもとくんの真意がどこにあるのか、はしもとくんの見せたいものやりたいことはどこにあるのか、それを探したいと思った、というのが合っているのかも。こんなはしもとくんが見られるだろう、という予想や勝手な期待は少し、違っていたように思えたから。
そして私自身がいま、はしもとくんをどんな風に見ていいのか迷っていると気付いてしまった。かわいいかわいいと言っていたその人に。私はいま何ていう感情を持っているんだ。何考えてるんだ、自分は。もやもやと考えてみてはハッとしたようにやっぱりかわいい!ときゃっきゃして、ひとりでそんな風にじたばたしていた私は今年もまた落ちてしまった。



…まだもうちょっとつづきます。